パーキンソン病に対する症例報告

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第11回
パーキンソン病に対する症例報告

松本 岐子

鍼灸界の風雲児であるキャプテン岐子が
風門からの風を受けて尿(いばり)川を航行。
その先には宝物が隠された光の渦が!

症例1

Jerry 50歳

【主訴】

パーキンソン病、小刻み歩行、左右のバランスが悪い。

【現病歴】

一年半前に、Parkinson disease (パーキンソン病)と診断される。
「杖を買わなければいけないなんて、まだ50歳なのに」と悲しそう。
薬は副作用があり、あまり効果がないと聞いたので鍼を試したいとのこと。

【所見】

6か月前に来院。進行が早いと医師に言われたそうだ。

右の胸鎖乳突筋(以下、SCM)が異常に硬い。以前、かなり悪化した症状の患者が来院した時、Medical dictionary (南山堂の医学辞典)に記載されていた症状の全てをもっていたことがあるのを覚えている。この時から、パーキンソン病の患者には、SCMの異常な硬さがあることを認識していた。
「これが緩んだら症状が変わるはずだ」、とあの頃からずっと考えていた。
それはまるでゴム管のような硬さだった。いろいろ試したが変化なく、5回の治療でも全く変化しなかった。苦い経験であった。

案の定、Jerryの右のSCMはゴム管の硬さだった。左は全く普通の筋肉という感じである。「Jerry は発症してまだ1年半。まだ何とかなるかも知れない」、という思いで治療に取り組んだ。